構造設計と耐震診断知識の有効利用

耐震強度・構造計算偽造-姉歯(あねは)建築設計


ここ最近のアクセス数は異常です。

普段全く興味を持たれない、非常にマニアックな内容であるため、通常の訪問者数は平均50人程度でした。それがここ数日は毎日500人以上の人が私のサイトを訪れます。そして連日のTV報道です。

この様な状況の中、まさに構造設計と言う現場の最前線にいる私にとって、なんとも言えぬ緊張感・責任の重さを今更ながら改めて感じておりました。

本来であれば、もっと早くコメントを書くべきだったと思いますが、安易なコメントを書きづらい気持ちと、もう少し情報がほしいとの思いで、あえて事件の動向を見ておりました。

●今回の偽造の内容

確かな情報ではないですが・・・

□地震力を約半分にした(地域係数を0.5にした?)

□建設コストは約1割減(人命失うリスクを高めて建設費はたった1割のコストダウン)

□震度5強で倒壊の可能性がある。
(通常は震度5強~6弱では損傷しない事で地震後そのまま補修をしなくても建物として使える、震度6強~震度7では倒壊しない事で地震後そのまま建物を使用出来ないが最悪でも人命を守る事が出来る)

□構造計算の電算機出力を偽造し、地震力を通常に入力した計算出力と地震力を半分にして入力した計算結果の出力を、合体させて審査機関に提出した。


●構造設計をめぐる環境
おそらくここ数日のアクセスを見る限り建築業界以外の方の訪問がかなり増えていると思いますので、現在の構造設計の仕事がどのように発生し誰が、誰に仕事を依頼しているのか、また構造技術者が設計現場の中で、どういう立場にあるのかとう言う基本的な事を少し説明します。

・ケース1
施主(建築主)→意匠設計事務所等→構造専門設計事務所

・ケース2
施主(建築主)→意匠設計事務所等
         →構造専門設計事務所


※意匠とはデザインとか間取りを考える設計の事です。


ケース1の場合、構造技術者(構造屋)は施主(建築主)から直接仕事をもらいません。あなたが家を建てる時まず誰に仕事を頼むか考えて見てください。

ハウスメーカー・工務店・建設会社・意匠設計事務所と色々ありますが、構造技術者は上記の企業のどこにも存在していません。ほとんど企業内部の中に構造技術者は雇ってないのです。超大手さんは別ですが。

通常はこれら企業が工事案件が決まった段階で設計図を書き、それを元に我々構造技術者に構造計算の発注(外注)を行います。

したがって、意匠事務所等やハウスメーカーを交いして仕事の依頼が来ますので我々構造技術者は施主(建築主)の顔を全く知らずに仕事を行います。


ケース2の場合は、施主が直接、意匠事務所と構造事務所別々に仕事を発注する場合です。「企業」「デベロッパー」「官公庁」等の場合が多いと思います。この場合は施主と構造技術者とが直接顔をあわせて技術的な打ち合わせを行う事があります。ある程度定期的に建物を建て、施主側に建築の知識がある場合に採用されます。

ケース2もデベロッパーが施主の場合、その後マンションを建設し一般消費者に販売すれば、買った消費者が建物の所有者になります。

ケース1もケース2も共通して言える事は構造技術者と実際にその建物の所有者となり居住する人とが直接接点が無い事があります(企業や官庁は別ですが)。

だから一般消費者は我々構造設計者の存在すら知りません。建築の設計と言えば、TVのリフォーム番組の「匠」みたいな人や「建築家」みたいな人を思い浮かべるようです。

みな自分と家族の命を守るべき建物の耐震設計に全く興味を持たずに数千万ものお金を費やしているのです。例え耐震に少し興味を持っても我々構造技術者の存在までは、まずたどり着きません。

たいていの場合、工法や技術的な部分の勉強はするかもしれませんが、技術を実際に使い、安全な建物を設計する”人”には興味を持つことはありません。もしくはデザインをやっている意匠設計者が構造計算もやっていると勝手に思いこんでいるかです。

ネット上を見てみると、構造技術者でそれなりのサイトを運営している人はほとんどいません。ちょっとした構造事務所は自分の会社のサイトを持っていますが、自社宣伝のためのサイト作りしかしておらず、情報発信などはしていません。

一般消費者に情報発信しているのは意匠設計をやっている建築家たちです。そして彼らが構造の部分の情報も発信しています。

これでは、消費者が我々の事を知らないのも無理はないでしょう。

我々にとってのお客は通常、末端の消費者でなく、同じ業界内のメーカーや建設会社・設計事務所・デベロッパー等です。


●確認審査が民間になった事に問題がある?

どうもテレビ報道やWEBサイト・ブログなどでは建築確認審査が民間業者に移行した事自体にも原因がある。といったような表現が見受けられます。

しかし、私はそうは思いません。

はっきりいいますが、お役人の方々が確認審査をしていた一昔前と、民間業者がメインになりつつある現在とで、確認審査をする人の技術レベル・審査内容にそれほど大きな差は感じられないからです。

逆に民間に委託されるようになってからの方が技術的な質疑や審査が多くなり、それなりに建築構造を知っている方が審査をしているなと感じる事もありました。

考えてみてください。公務員試験に受かっただけ人が耐震設計とか構造設計とういう特殊な仕事を実務経験無しに、構造審査をまともに出来ると思いますか?

一度も自分で構造計算をやった事もない人が審査官であったりする事などは、珍しい話ではありません。そして、こういう現実は民間業者が確認審査を始めるずっとずっと前からの話です。

表には出ていませんが、民間の確認審査期間が無かった時代にもこういった不正が少なからずあったと思います。

たまたま今回、血迷った構造設計者が幼稚で低レベルな不正を行ったために判明してしまった。また民間確認審査機関が正直だったからその事実を公表した。

民間確認審査機関も自分のチェックミスを素直に認めない所はよろしくないと思いますが、不正に気づき、公表した事は評価できます。

不正に全く気づかずにほったらかしにしている審査機関よりもずっとましだと思うからです。

では今回の審査が適正だったかと言えば、適正でなかったから見逃したのですから適正とは言えないでしょう。ただその現実は今はじまった話ではないのです。

表に出ない不正な構造計算が数多くあるだろうと思うからこそ、今回不正に気づき公表しただけでも「まだ・ましな方」と表現してみました。

といっても、あくまで「まだ・ましな方」としか言えないのですが。


●根本的な問題

私は構造設計の現場にいる人間として、今回の問題が一部の悪人がしでかした悪さという問題で終わらすにはあまりに深い問題を抱えている気がします。

一つだけ例をあげます。今回姉歯氏は地震力を半分にして建物を設計しました。そこに工学的判断は全く無く、彼は「偽造」と言う最悪方法を選択しました。

しかし、今現在偽造と言う手法以外の方法で地震力を約半分にして設計している建物があります。偽造でないので法律違反ではありません。工学的判断に基づいて、計算手法を変えるとこのような事が出来てしまいます。

構造計算とは、設計者が考えた、いくつもの仮定に仮定を重ねて、計算してみたらこうなった。といったような物で、設計者が工学的判断に基づいて最初に考える仮定や計算手法を変えれば、偽造などしなくても、計算結果をある程度誘導できてしまいます。

そして、そこには危険な建物を造らないと言う構造技術者のモラルや良心と言う、とても技術とはかけ離れた、人間くさい部分によって今の構造設計が保たれている現実が見てとれます。

こういった話は本当に一部の技術者の間でこっそりと、この問題を協議していたりします。まったく表には出てきません。デベロッパーも建設会社もどんどん設計地震力の小さな建物を建てています。もちろん今もです。

どうでしょう。私が今回の問題は一部の血迷った構造技術者の起こした事件とは言えないの言う意味が少し伝わったでしょうか。

建築業界の閉鎖感と建築システムの問題、そして消費者の無知。この事実が今回の事件の根底にある気がしてなりません。


●結局だれが悪い?

どこかの国の逸話でこんな話を聞いた事があります。

構造技術者は自分が設計した橋(ブリッジ)が完成したら、まず最初に設計者自身が橋の下に立った状態で、その橋の上を戦車で走行させるそうです。もちろん設計ミスをしていて橋が壊れれば橋下の設計者は怪我どころでは済まないでしょう。

これはちょっと大げさな話だとは思いますが、今日の日本では構造設計についての責任が非常に曖昧になっている気がします。


一つ例をあげます
車を買って、不具合が出た時「下請けメーカーのミスだから下請け業者に言って」なんて自動車メーカーが言ったら、そんな会社の車はもうだれも買わないでしょうし、大問題になりますよね。普通は自動車メーカーが問答無用で消費者に対して無料修理や引き取りなどの責任を負うでしょうし、それが当たり前という認識があります。


では建築業界は?


□発注者側の責任
意匠設計・構造設計を外注した企業は「我々は関与してない」とか言ってるが、関与してないって事は設計責任者である発注者自信がノーチェックだったか、構造計算の内容を見てもさっぱりわからなかったかのどちらかで、結局建物を設計し監理する能力が欠如していたとさらけ出しているようなものです。

今回は偽造した事に大きな問題があるが、偽造はしてなくてもミスをしてしまうケースもある。つまり偽造が見抜けないならミスも見抜けないでしょう。

偽造(ミス)をしたのが下請けだから下請けが悪い?

お金を出している消費者に対してそんな理屈が通用するわけがありません。消費者は元請けである企業と契約してお金を払っているのだから、契約した企業に責任をとってもらいたいと思うはずです。車の場合と同じように。

直接にしろ間接的にしろ、構造計算を依頼(外注)した側の責任は重大です。一般消費者にとっては構造設計者の顔も名前もしらずに購入した人がほとんどでしょう。元請けの企業を信用してマンションを購入したんですから。


□確認審査機関の責任
ニュースや他のサイトでさんざんたたかれているので、ここでは省略します。悪いのは事実です。なにがしかの審査対策が必要なのは間違いありません。


□施工業者の責任
施工業者にも責任があります。今回は施工業者も色々と疑われているようですが、極端に鉄筋が少なかったり、柱が小さければ普通は気づきます。

施工者は工事を請け負い、これはおかしいと思った場合は必ず設計監理者に報告し確認をする義務がある事を建設業法で決められているからです。これを怠ればやはり法律違反になります。

しかし、まともな建設会社は「これはあやしい」と思えば請負契約を絶対にしません。他の構造屋にチェックをしてもらい大丈夫な場合のみ仕事を受ける等、自社で対策をしているまじめな建設会社もたくさんあります。

施工会社は事件に関与していようがいまいが、責任がある事はあきらかです。


□消費者側の問題
普段の買い物で無農薬がいいと言って野菜選びをしたり、産地や作り手を気にして買い物をしている方は結構多いと思いますが、

自分と家族の命に直接関わり、また資産価値の面でも非常に重要な建物の耐震性を本気で考えないで数千万の買い物をするその感覚。

あきらかに、その価値観をあらためた方がいい事に、消費者のみなさんは気づくべきです。


□業界のシステム自体の問題
今回事件の本人である姉歯氏も、もし仕事をもらっている相手が実際にその建物に住む住人であったなら、こんな偽造はしなかったかもしれません。
また住人も「地震で壊れてもいいからコストを安くしろ」なんて言わないでしょう。ちゃんと仕事をして喜んでもらえる方がいいに決まっています。

実際に建物を所有し生活する施主以外のデベロッパーや意匠設計事務所等が、構造計算の仕事を外注する場合、どうしても目先の利益確保のため、建物コストを下げ安い金額で設計・販売しようとします。安ければ売れます。賃貸にするにしても利回りがあがります。

消費者・住人は建物の構造についてはほとんど無知ですから、そんな事を聞いてくる人はあまりいません。だいたい構造計算って言葉すら知らないのですから。

あとは確認審査を上手くごまかせれば超ローコストマンションの出来上がりです。消費者は安く買えたと喜び、企業は儲かります。

こんな事が今までずっと行われてきたのです。だれも気づかないから上手に手を抜いて仕事をした人が勝ちです。まじめにやると過剰設計だ、仕事が遅いと言われ仕事が来なくなる事もあります。

 ・コストをやすく出来る構造技術者がいい技術者と言う風潮。
 ・仕事を確保するためには、仕事の発注者にとって有利な設計をしがちになる。

この問題は、ほとんどの構造技術者が感じている事で、それを技術者のモラルで突っぱねているのが現状です。まじめに仕事をすればするほど貧乏になる。

結果、続けて行けなくなった事務所は廃業し、まじめな技術者が減っていく悪循環。

姉歯氏の事務所は一般の方が思う建築士のイメージとは、かけ離れたほどボロい事務所でした。個人の構造事務所はみんなあんなもんです。

彼がやった事は技術者として弁解の余地がなく、人間としてあきらかに間違っていますが、企業に利用され、現在の業界システム問題の波に飲まれてしまったのだとしたら、業界自体の問題を無視する事はできないのではないかと思います。


あえて責任の重さ順に個人的判断で並べてみました。

0.建築業界のシステム全体の問題
1.当然偽造した本人
2.構造設計を外注した企業、つまり元請け業者であり意匠設計者
3.施工業者
4.確認審査機関
5.国
6.消費者


あえて0番を作りました。そして6番目に消費者も入れておきました。
かなり、思い切った事を書きすぎた気がしてちょっとビビッテいます。
苦情お問い合わせはメールでお願いします。


Posted by tanaka-kozo at 2005年11月20日 17:08 | コメント (23)
この記事に対するコメント

構造屋さんからトラックバックもらえるとは光栄なのでお礼コメントさせていただきます^^
今回の事件で建築業界の歪みが表面化してきましたね。
意匠に力を入れてコストを下げる(必然的に構造等見えない部分がが疎かになる)今までのやり方は通用しなくなるのでは無いのでしょうか。

>公務員試験に受かっただけ人が耐震設計とか構造設計とういう特殊な仕事を実務経験無しに、構造審査をまともに出来ると思いますか?

同感です^^構造計算に限らずですけど(笑

Posted by: 漢次郎 at 2005年11月20日 23:25

はじめまして
ろじゃあと申します。
非常にまじめな姿勢にプロとしての矜持を感じる思いです。
TBさせていただきます。
今後とも貴重なお話が拝読できればと楽しみにしております。

Posted by: ろじゃあ at 2005年11月21日 15:04

>漢次郎様
これからどころか今すでに仕事に影響が出ております・・・。今後どうなって行くのか少し不安になったりしますが、がんばります。コメントありがとうございました。

>ろじゃあ様
私がまじめかどうかは微妙ですが、今回の事件は少し感情的になってしまったかもしれません(反省。今後ともよろしくです。

Posted by: 田中@管理人 at 2005年11月21日 16:13

 私も、今回の事件が気になり検索を利用してここに来ました。
貴殿の言うことは、共感させられます。
 今回の事件で、構造の方だけが、マスコミに取り上げられていますが、一番の元凶の元は、設計士・監理設計であるはずなのに、誰もそれにスポットを当てないのはおかしいし、建築士取り消しはまずこの人間ではないいかと思います。ちょっと、報道も、いびつな感じがしますね。
 ちなみに、私、建築市意匠設計・構造何でも屋です。

Posted by: 009 at 2005年11月22日 00:53

通りすがりました。
社会科学系から建築科の修士(意匠系)に移ってきた学生です。
この社会はモラル高い技術者によって支えられてきたんだなあと、貴方の誠実な記述からしみじみ感じました。
なりふり構わぬ自由主義経済のしわ寄せは結局社会の端部にくるのかとも思います。究極的には昔から何かと貧しい社会だったのだとも感じてしまいます。
責任ランキング、とても説得力のあるものだと思いますよ。技術者の一良心として、今後のご活躍を期待します。

Posted by: Bushed at 2005年11月22日 02:18

はじめまして。
ろじゃあ さんのところで、貴ブログを知りました。
勝手ながら、関連エントリーをTBさせていただきました。

毎日、新しい展開が報道をにぎわせておりますので、また続編がございましたら、拝読したいと思います。

Posted by: toshi at 2005年11月22日 02:30

はじめまして。
akatukiと申します。TBさせていただきました。
とても解り易く解説していただきありがとうございます。
私は、意匠屋のほうですがこの件はほんといろいろな見方があり難しいです。
私は、やはりもっと小さな違反から野放しにしている国に少なからず問題があると思います。
もちろん、姉歯、デベロッパー、審査機関叱りです・・・

Posted by: akatuki at 2005年11月22日 09:30

TB有り難うございました。

この問題に関しては22日になっても収拾の気配を見せず、実際に設計を行っている私としても、固唾をのんで推移を見守っています。
ネットで掲示板などを見ていますと、こんなの何処にでもある話だといったような書き込みが見受けられます。
決してそんな事はありません。
一人のしでかした事が、さも業界全体の常識のように受け取られるのには非常に疑問を感じますし、怒りを禁じ得ません。
今回の構造設計者がどのような事情で計算書の偽造に至ったのか、本人はインタビューで答えてはいますが、それが事実かどうかはまだ分かりません。
是非この事件をきっかけに、業界内の膿を出し切って貰いたいものです。

Posted by: セキヒロシ at 2005年11月22日 16:27

>009様
元請けさんの責任もきっとこれから話題になってくれるでしょう。そうでなければ、構造屋に全部責任を負わせればいいってな話になってしまいそうで怖いです・・・

>Bushed様
色々な意味で良い技術者が評価される業界・社会になってくれなければ、構造技術者の未来は暗いままでしょうね。がんばります。

>toshi様
いつでもどーぞ。自由にTB・リンクしてください。それがインターネットですから。

>akatuki様
今回の件はホントに難しい問題が潜んでいます。お国はどうも計算書内の認定番号とか認定書がないのに見逃した事が悪いみたいに、もって行こうとしてますが、全然違います。そのまま幕が引かれない事を願っています。

>セキヒロシ様
今回の姉歯氏が犯した犯罪が大量殺人だとすると、万引きくらいの犯罪は建築業界の中で、私もたまに耳にします。今回のは明らかに限度を超えています。大量殺人が良くある事でない事はたしかですよね。

Posted by: 田中@管理人 at 2005年11月22日 16:57

toshiさんのブログから飛んできました。
まさに、「構造計算って何?」状態の業界外の者です。

ここ数日いまいちわからなかったことが、(自分の中だけでですが)かなりすっきりしました。

特に、建築業界のシステムの問題と、消費者側の問題、ものすごい納得です。

Posted by: K at 2005年11月22日 23:14

こんにちは。
さて,構造計算書をはじめ,今回の事件の様々な背景について,大変参考になり,かつ勉強になりました。
この記事は非常に分かりやすく書かれており,建築関係に疎い私でも理解できました。
ところで,今回の問題について気になったのは,あちこちでささやかれているように「他でもあるのでは?」という点です。
もちろん9割9分の設計士や施工業者はまっとうな仕事をしているはずでしょうが,ご指摘のとおり民間審査機関が発表を控えてしまっている可能性も否定できません。
責任追及はもちろん必要でしょうが,一方で発表しやすい環境作りも大切なのかなあ,と感じます。

Posted by: おかにゃん at 2005年11月23日 14:04

>K様
参考になったようでよかったです。また遊びにきてください。

>おかにゃん様
度合いの問題です。今回はホントに小さい事件が全く話題になる前に、いきなり親玉が捕まった。みたいな感じでしょうか。
新しいエントリーをUPしましたのでそちらも参考にしてみてください。

Posted by: 田中@管理人 at 2005年11月24日 13:59

しっかりと読ませていただきました。
奥が深く、根も深いとニュースをみて感じています。
とはいえ、実際にすんでいる方がいる限り
そうした抽象論で終わらせてもいけないとも感じます。
TBさせていただきました。
ありがとうございました。

Posted by: イトメグ at 2005年11月25日 19:33

要するに国民をバカにした欠陥マンションを平気で建て販売する業界のグルなんだ。そしてバレても誰も責任を負わない。日本社会の構造的な問題が潜んでいるのです。今回の件は氷山の一角でしょう。

Posted by: ごめす at 2005年11月26日 10:59

この偽造問題 なぜ発覚したのか?
誰がなんの為にもう一回姉歯の構造計算を計算したのか?
又はなぜもう一回計算し直さないといけなかったのか?
この部分の話はニュースで言いましたっけ?
記憶によるとニュースでは「今日、構造計算が偽造されたのが発覚しました。」とかそんな感じでスタートしたような気がします。
どなたか一番最初の"なぜ発覚したのか"が説明できる人、投稿お願いします。

Posted by: ふじ at 2005年11月30日 18:51

 ブログピープルで見つけたので見に来ました。
 読みやすく、簡潔な、優秀な技術者さんらしい文章で、勉強になりました。

 私は建設系の技術者だったものですが、「デベロッパーや建設会社に構造の専門家がほとんどいない」という事実に、非常に驚いています。
「構造の専門家なしで一体どうやって、設計のチェックをするのだ?」と思います。
 下請けの建築士の偽造がすんなり通って、実際に建物が建って、販売されるわけですね。
 仰るとおり、このようなことが許されるシステムが一番悪いと思います。

PS:
1)公務員の件も全く同感です。公務員のシステムも見直す日がいつか来るでしょう。
2)勝手ながら、この事件を報じたBBC放送の記事を訳した私の投稿に、この投稿のリンクを貼りたいと思います。

Posted by: ちゃめ at 2005年11月30日 20:19

構造設計者に仕事を依頼した経験がある者です。貴殿のおっしゃるとおり偽造などしなくても、限耐法で合法的に姉歯氏と同じような計算結果を導くことは可能だし、現実に耐震診断をするとNGになる新築の建物は多いですよね。しかし極限まで鉄筋量を減らしていることなど住民は全く知らされていない。まさに今回のケースは氷山の一角といった感があります。

安全性を著しく欠くほどに鉄筋を減らせる設計が合法的に可能である。それを建築士のモラルだけに頼るしかない仕組みはやはりおかしいと思います。

Posted by: やっちん at 2005年12月05日 22:48

>イトメグ様
おっしゃる通りで居住者の方の問題は業界の問題とは別に考える必要がありますよね。

>ごめす様
責任がとれなくても売り主になれるのもどうかと思いますよね。保険とかないんでしょうか?設計瑕疵には保険があるんですけどね。


>ふじ様
たぶんもう回答の必要がないと思いますが・・・すみません。
我々のような構造屋さんからの指摘だったようですね。


>ちゃめ 様
>構造の専門家なしで一体どうやって、設計のチェックをするのだ
残念ながら、ちゃんと構造のチェックが出来る元請け業者はホントに一握りです。今回の事件で少しは変わると思いますが。


>やっちん様
限界耐力の話は一般の方々に変に誤解されてしまうと嫌なので、あえてここでは書かないようにしたのですが、判る人にはわかってしまいますよね・・・。
私自身正確に解説出来るほど知識があるわけではないですが、今までやってきた従来設計法の部材断面イメージとはかなりかけ離れた部材断面になります。私自身の部材断面イメージを変更せざるを得ないのか?悩ましいところです。
建築士のモラルだけに頼るのではなく、施主(居住者)と合意の元でクライテリアを決定したのであれば、合法的な範囲内で、自由であるべきだと私は思っています。色々とご意見はあると思いますが。コメントありがとうございました。

Posted by: 田中@管理人 at 2005年12月05日 23:05

九州地方本社の構造施工業者を施工業者に使っている という事でぴんときませんか? そう材料の規格が隣の国の製品です。九州地方の施工屋さんは全部ではありませんが 材料費を安くあげるために よく使用されます。 人件費も本土より格安ですし… もちろんごく少数業者だと思います。コストダウンで材料カット 人件費カットで行き着いた先がこのような悲劇をうんだのでしょうか?
仕事 請けなきゃいいのにって意見がありますが、火の車で経営しているところは人の事考えている場合ではありません。おかしいと気がついて 注意したところで追加工事金額がもらえるわけではありませんし、下手な事いって次仕事がもらえなくなったらどうしようと考えてしまうわけです。 設計している人は 最初に頭撥ねれば良いのですが それを請けてミスが発生しているようなので変更した場合追加変更の費用 施工業者に払わないでしょう!建築主の方も決定金額より追加が絶対発生すると想定した予算組みをしていれば問題ないのでが…
結局 構造的な問題ですね~ 
今回の件で構造屋さんは すごく仕事がやりやすくなりましたね~
だけど設備(特に配管や)はますます苦しくなります。梁と意匠が優先して梁下の空間がなくなる恐れがあります。衛生屋さんの悲鳴が聞こえてくるようです。
意匠も大事ですが、快適に暮らすために重要な設備の事も少しは考えてほしいものです。目につかないから問題ないのかな~
最後に一言 spはなぜ柱の近くでメンテのできないような少しの空間しかとれないのでしょう? 点検ができないよ~ まして将来的に配管の更新なんて…

Posted by: 設備屋 at 2005年12月09日 02:18

前略
 小生も貴殿の意見にまったく賛成です。小生の考えを殆ど表 現していただきました。
 ぜひこの貴重な意見を各マスコミ・雑誌社・国土交通省等に Mailして頂きたく思います。小生も多少の意見をMailして みましたが返信はありませんでした。
 ただ一つ二つ指摘しておきたいのですが、
1 建築確認審査機関について
  民間・公共のあり方にいろいろ意見が出ていますが、現時点での審査能力は両者変わらないと思います。なぜなら民間の審査をする人は殆ど役所にいた建築主事が天下った人だからです。役所にいた建築主事というのは建築の設計・現場・監理といった生きた実務の経験が殆どありません。法律には詳しいでしょうが今回のように普段と異様に違う図面に異常は感じることは出来ないと思われます。実務のベテランならおかしいと気づくでしょう。建築確認の審査をする人の能力(特に構造・設備・現場)のありかたを早急に対応しなければならないでしょう。
 また現実、建築審査のあり方も甘いと思われます。それは大企業とか、名の通った設計事務所にたいして審査の厳しさをランク付けしているそうです。そうしないと確認業務を捌ききれないからです。根本的に確認業務のあり方を発想の転換をしなくてはなりません。
 また、役所の建築には計画通知というのがありますが、これはもっと審査の甘いものです。
2 設計と設計施工について
 この問題は30年位前に「鹿島論争」というのがあります。この論争をもっと深く議論する必要があります。
3 建築士の更新について
 国土交通省が建築士の更新制を検討するようなことを聞きましたが、またも役所のピントはずれが露呈してします。
 もし更新試験をやっても技術的な試験では姉葉さんも又、合格すると思います。
 今の世の中、仕事の能力・知識ばかりで人をランク付けする風潮があるが一番大事なのはモラル(道徳)です。もっとモラルの審査制度を検討するべきです。
 運転免許が良い例です。運転技術があればどんなモラルの低級な者でも合格して事故をおこします。
 
 ちなみに小生は、一級建築士で、計画・設計・構造・監理等の設計畑の仕事をしてきた者です。

Posted by: 武蔵野 誠 at 2005年12月26日 18:34

私は、福岡県の篠栗町のあるマンションに住んでいます。
先日の、福岡西方沖地震で震度4~5の地震を体感しました。
このマンションは、平成6年頃から建設を開始し、1期、2期3期4期と現在4期工事が行われています。
今回の耐震強度偽装事事件で心配になり、設計事務所にメールで「われわれのマンションの耐震強度は、端的に現在の建築基準法の耐震強度を満たしていますか?」と、問い合わせしても、全く返事が返ってきません。2回してみましたが、2回とも回答なしです。
2回目の質問には、「1期、2期工事は、従来の基準に則り建築されており震度5に耐える設計がなされている。3期工事以降は、現在の基準で震度6に耐える耐震設計になっている。ということであれば、それで十分と思います。ご回答お願いします」
と、質問しても、回答なしです。

そこで、端的におたずねします。
現在の建築基準法では、10階建の数10戸~100戸のマンションの維持すべき耐震強度は、震度いくつですか?  また、現在の基準の一つ前の基準では、震度いくつですか?
教えて下さい。よろしくお願いいたします。

Posted by: 片平  治 at 2006年01月09日 11:15

・建築構造偽造事件について
建築士の仕事は、施主の要求を形にして示すことである。姉歯建築士の場合、施主が「鉄筋を減らせ」と要求した。設計者は法令に照らし合わせ、これ以上は無理だといった。施主は、それなら設計者を変えるといわれ、仕方なしに依頼者の要望を忠実に履行した。強いて言えば、耐力不足の建物を頼まれて設計したのである。その建物を、施主・㈱ヒューザーが自分の事務所として使用していたのなら誰も文句は言わなかったのであるが、震度5程度で倒壊するかも知れぬ建物を百年持つような虚偽広告で販売した。ン百万円の物件を数千万で売りさばくという、詐欺に限りなく近い悪徳ブローカーの手法である。
姉歯自身も、それに加担した謗りは免れないだろうが、こうした悪徳ブローカーが施主であったり、悪徳施工会社が設計の発注者であったりした場合、設計者は如何様に対応すべきであるか。現実的に、設計に携わるものの経験として、程度の差こそあれヒューザーのように要求してくる施主は多い。そういう仕事は断れれば一番いいのだが、姉歯のような行動を取っている設計士も多いのではなかろうか。
・この事件は詐欺事件
この事件をマスコミは「偽造事件」と言うが、計算書は姉歯自身が作成したものだから偽造(にせもの)ではない。本物である。姉歯は施主の要求する内容の設計をしたのであって、当然、国会喚問ではこのことから反論するものと思っていたが、しかし何てことはない。彼はしょっぱなから偽造したと発言したのである。彼には設計の意味、この建物は俺が設計したという自負と責任というものが、最初から無かったのだろう。
しかし偽造とは、他人の設計を盗作・盗用することを言うのであり、この事件は詐欺事件なのである。これを偽造事件と言い換えたことで、この問題の本質が見えなくなっているのだが、嘆かわしいことに、今では建築士会や建築学会、国土交通省までもが偽造だと言い、正に「一犬影に吠ゆ、百犬声に吠ゆ」の様相に助長させてしまった。
この事件は氷山の一角だと言われるのは事実のことだし、本当の意味の偽造設計士が世にはびこっているのが現状だ。盗作・盗用しか芸のないヘッポコ設計士。それに基本設計を終えた段階で強引に仕事を奪いにくるハチャメチャ設計士の存在もある。
・設計士の使命を全うするために
建築士という難関な資格でありながら、プロの職能としての地位を確立できていないことが、この現状の要因と思っている。姉歯の事件は、彼一人の事件ではない。業界の体質の事件である。
これを変えぬ限り、設計士はプロの職能としての市民権を得られないだろう。
談合、ダンピングの問題も含め、施工会社からの受注など設計事務所がやってはいけないもの、やるべきことを明確に条例化すべきである。そして医療制度のように業務内容を点数化して、施主及び施工者の当事者に業務内容を周知させるとともに、経済的に設計者の身分を保障する制度が必要と思う。

Posted by: 卯月 一郎 at 2006年01月09日 11:41

みなさんコメントありがとうございます。
一般の方から震度についてのご質問がありましたので、簡単にお答えします。

>現在の建築基準法では、10階建の数10戸~100戸のマ
>ンションの維持すべき耐震強度は、震度いくつですか?

規模や構造種別によって目標とする耐震性能に差はありません。建物の用途によって地震力を割ります場合もありますが、一般の共同住宅では性能評価で耐震等級を意図的に上げたりしていない限り、基準法ぎりぎりで設計していると思われます。

具体的には「2001建築物の構造関係技術基準解説書」より
「震度5強程度で建物が損傷しない事、震度6強~7程度で倒壊しない事」を目標にしています。

損傷と倒壊の違い
・損傷とは、多少のひび割れ等は発生するが、大きな補修をしなくてもそのまま建物として利用できる程度の被害の事です。
・倒壊とは、建物の被害が大きく、そのまま建物として利用するのは困難で、最悪の場合、建物の被害により人命の失うほどの大被害の事です。

ただし、実際には震度階と我々が構造計算する時に使用する設計地震力とは直接リンクしている訳ではありません。ですから、震度階での耐震性の説明は、あくまで一般の方への説明としてわかりやすいので、便宜的に用いられているだけですので、目安程度と考えていただいた方が良いかと思います。

>また、現在の基準の一つ前の基準では、震度いくつですか?

詳しい事は説明できないのですが、基本的な目標自体はあまりわからなかいのではと思います。ただ、新耐震のような、塑性理論を取り入れた設計はされていませんでしたので、設計方法自体の信頼度が現在とは全然違います。したがって、新耐震前の建物は耐震性能目標以前の問題として、設計方法の信頼性の違いによる耐震性の不足の方が深刻であろうと思います。

Posted by: 田中@管理人 at 2006年01月09日 13:35


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