ずいぶん前ですがJASSの内容が新しくなって○○基準強度と言うものがたくさんできました。
Fc:設計基準強度
Fd:耐久設計基準強度
Fq:品質基準強度
なんだかたくさんあってややこしいです。そのせいでちょっと混乱している設計者もいるようです。
設計基準強度とは、ご存知のように実際に構造計算で設定したコンクリートの圧縮強度です。
耐久設計基準強度とは、建築物の耐久年数に応じて決定される圧縮強度をいいます。細かい数字は省略しますが、簡単に言うと耐久年数を上げようと思ったらコンクリートの圧縮強度を上げる必要があります。RC構造物の耐久性はコンクリートの中性化の影響を大きく受けます。中性化すれば鉄筋が錆びてしまうからです。コンクリートの強度を上げると中性化速度が遅くなり、その結果耐用年数が長くなります。
品質基準強度とは、設計基準強度と耐久設計基準強度の両方を満足させるために、コンクリートの品質の基準として定めた強度をいいます。そしてここでΔF=+3Nが出てきます具体的には(a)、(b)の下式の値のうち、大きい方を品質基準強度とします。
Fq=Fc+ΔF (N/mm2)--(a)
Fq=Fd+ΔF (N/mm2)--(b)
Fq:コンクリートの品質基準強度(N/mm2)
Fc:コンクリートの設計基準強度(N/mm2)
Fd:コンクリートの耐久設計基準強度(N/mm2)
ΔF:構造体コンクリート強度と供試体強度との差を考慮した割り増しで3N/mm2
ではなぜΔF=+3Nの割り増しが必要なのでしょうか?
通常、構造体コンクリートの強度監理を行う場合、テストピースを作って水中養生または封かん養生を行います。実はこのテストピースと実際に打設された構造体のコンクリートには強度に差があり、保管されたテストピースの方が強度が大きめに出てしまう傾向があります。
もし補正しておかなければテストピースは所定の強度が出ているが、実際に打設された構造体のコンクリートは部分的にでも強度が足りていないと言う事がありえます。
その強度差を調整するために+3Nを加算して、構造体のコンクリートがどの部分でも所定の強度が満足する事を担保しようという事のようです。
構造屋としては、建物本体のFcとFdが4週間後に確保されている事を確認さえできれば監理の手法はこだわらないのですが、一般的にJASSや共通仕様書によって監理しテストピースを使う場合はどうしても+3Nが必要になってしまうのです。
・・とここまでは正論のはずですが、ここからはちょっと私の個人的意見として聞いてください。
このテストピースを実際に打設された構造体コンクリートと同一の条件で保管したり、もしくは、もっと不利な条件下で保管した上で強度試験を行ったらどうでしょうか?
それであれば構造体コンクリート強度≧テストピース強度となりそうな気がしませんか?
+3Nのために構造体をコア抜きする人はあまりいないと思いますが、あえてコア抜きをして強度試験を行うことも考えられます。
そうすれば+3Nはいらないのでは?
共通仕様書によらずに監理することがもし許されるならば、結局のところコンクリート強度を監理する手法は色々と考えられるわけです。
しかし、どの程度の条件下でテストピースを保管しておけば「ΔF=+3Nはいらない」と説得力をもって断言できるのか・・・。
その辺が判らないと「ΔF=+3Nはいらない」と言うのは現状では難しいのかもしれません。
Posted by tanaka-kozo at 2005年08月26日 12:55 | コメント (0)